先生のご紹介ライブラリー

植物と乳酸菌で新・健康生活

野菜の効果的な食べ方、あの手この手

日本人の野菜摂取量が急減、今やアメリカ人よりも少なく

日本人が食べてきた和食は、お米を主食に野菜、魚、豆、海藻などの副菜がバランスよく摂れていたうえ、低カロリーでした。しかし、その理想的な食生活も、高脂肪、高カロリーの欧米食に移行するにつれバランスが崩れ、日本人1人が1年間に摂る野菜量は、年々減少しています(図1)。

アメリカでは、1991年から国全体で「5A DAY(ファイブ・ア・デイ)」といって「1日5皿分(350g)以上の野菜と200gの果物を食べましょう」というスローガンを掲げ、健康増進運動が始められました。その結果、十数年前から日本人より野菜を摂るようになったのです。

一方、日本では、すべての年代で目標量を下回り、若い世代ほど野菜不足が深刻となっています(図2)。

図1 日米で比較した野菜消費量の推移(1人1年あたり)図2 重年代別にみた野菜摂取量(1人1日あたり)

ファイトケミカルの効果を十分に得るヒ・ケ・ツ

ファイトケミカルは、植物が紫外線や病害虫などから自分の身を守るために作られる成分です。ビタミン類同様に栽培方法により含有量が異なり、自然の太陽光を十分に浴びたものほどファイトケミカルが豊富に含まれています。

私たちはそれらを含んだ野菜や果物を食べることで、ファイトケミカルを摂り入れ、抗酸化力や免疫力をアップさせることができるのではないかといわれています。

食べ物には多種多様な成分が含まれているため、体内に吸収されると互いに助け合い高め合いながら、カラダへの相乗効果を発揮します。ファイトケミカルの効果を期待するなら、多種類の野菜や果物など毎日バランスよく摂り続けることが大切です。

皮ごと種ごと自然の恵みをまるごといただきます!

ファイトケミカルは皮や種子の部分により多く含まれているため、できれば皮や種を一緒に食べたいものです。

トマトの赤い皮の部分には、抗酸化力の高いリコピンが豊富。皮のままオリーブオイルで炒めると油に溶けやすい性質も利用できます。

豆腐をつくる過程でできるのが、大豆から豆乳をしぼった後に残るおから。食物繊維のほか大豆イソフラボンや大豆サポニンも含まれています。

糠(ぬか)を取り除く前の玄米は、白米よりビタミン・ミネラル・食物繊維などファイトケミカルを豊富に含んでいます。

ブドウは、日本以外の国では、皮ごと食べる習慣が多いそう。ブドウのポリフェノールは皮や種に多いため、皮ごと食べられる品種も試してみたいですね。

赤ワインに含まれるポリフェノールはアルコールに溶け出す性質があります。赤ワインは皮も種も一緒に潰してつくられるから、ポリフェノールがたっぷり。

フランス人は肉やバター、チーズを多くとる食生活で動物性脂肪(不飽和脂肪酸)の摂取が多いにもかかわらず、動脈硬化や虚血性心疾患の割合が低いのです。これが“フランス人の不思議”と呼ばれていますが、赤ワインを多く飲んでいるからともいわれ話題になりました。

イチゴは実から種まで食べられるため、よく噛んで食べると、実や種に含まれるファイトケミカルを摂取できます。

マーマレードや、厚めにむいた皮を干した大根の浅漬けなどは、皮を使った一品としておなじみです。

落花生の茶色の薄皮も恵みの一つ。ニンジンなど根菜類も、よく洗えば皮もそのまま料理に使えます。

ファイトケミカルの宝庫を手に

ファイトケミカルを上手に取り入れるには調理法にちょっとしたコツが必要です。

日本人の知恵ともいうべき調理法、ワサビ大根をおろすのもそのひとつ。ワサビ特有の辛み成分は“イソチオシアネート”。「ツーン」とするあの香りには、強力な抗菌作用がありますが、水溶性で揮発性のため、お刺身を食べる際も、醤油に溶かし込むより、お刺身に直接つけて食べた方が合理的です。

ニンジンりんごなどはジュースにするのもおすすめです。

溶け出したファイトケミカルをまるごと摂る

ファイトケミカルは、油に溶けやすいものや熱に強いものもあるため、火を通すことで煮汁に溶け出します。生野菜ジュースに比べ、同じ野菜を煮出したスープ(上澄み)にはより多くのの抗酸化成分があるといわれています。

ミネストローネやオニオングラタンスープ、和食なら具だくさんの味噌汁もおすすめ。

煮込むときのポイントは、揮発性のファイトケミカルが蒸気とともに逃げないように、必ずフタをすること!もちろん具だけを食べるのではなく、汁に溶け込んだファイトケミカルをすっかり摂れるよう、薄味を心がけて調理し、汁ごと飲み干しましょう。鍋の締めに雑炊で食べつくすのも先人の知恵かもしれません。

ソバは、ポリフェノールの一種であるルチンやビタミンB1、B2などが豊富に含まれていますが、水溶性のため、ゆで汁に溶け出してしまいます。そこで、おすすめしたいのがそば湯です。薬味のネギに含まれるイオウ化合物やわさびなどの成分もいっしょに摂取できます。

赤シソは、紫色の色素の“アントシアニン”が抗酸化力を発揮するといわれています。熱に強く、水に溶けやすいため、サラダやジュース、スープにもおすすめです。

加熱も生も、それぞれのよさを生かして

野菜は生よりも火を通したほうがカサが減り、たっぷりの量を摂ることができます。カロテノイドの一種であるβカロテンは、脂溶性で熱にも強く、油と一緒に食べると吸収率がアップ。βカロテンを含む代表格のにんじんやカボチャは、油を使った料理法がおすすめです。

一方、キャベツのイソチアネートのように熱に弱い成分もあり、生のまま食べることで熱に弱いビタミンCなどもいっしょに摂取することもできます。ひとつの調理法にこだわらず、いろいろな食べ方で楽しみながら摂取しましょう。

生のまま食べることの多い果物の中でも手軽なバナナは、青みがかったものより数日おいて、黒い斑点(シュガースポット)が出始めるのを待つとポリフェノールが一番多くなり、生活習慣病予防や老化予防に役立つと考えられています。

野菜も果物も"旬のもの"は、スグレモノ!

今では1年中、日本各地のどこへ行っても、ほとんど同じ食材が並び、“旬”という言葉がなくなりつつあります。しかし、本来その季節に採れるものは栄養価も高く、多く収穫できるため、安価で手に入ります。

たとえば、冬が旬のホウレンソウは、夏のものと比べるとビタミンCが数倍も含まれています。できるだけ旬のパワーを摂り入れ、和食の文化を見直していきたいものです。

おもな旬の食材